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新潟市山田小学校にて

今年も残りわずかとなりました。
仕事も横浜の小学校でのコンサートを一つ残すだけとなり、年賀状も早々書き始めているし、少しずつ普段やらないところの整理や片付けなどもしているのに、なんだかとても落ち着かない。
若いときのように、時間がたっぷりあって、今できないこともそのうちできるようになるだろうと、漠然と期待しているというわけにも行かなくなり、その割には理想は高くなるばかり。そのギャップを埋められるかどうか、そんなことが最近自分の中にいつもあるような気がします。
“もすこし力を抜いて”と自分に言いきかせることもありますが、どうもこの落ち着きのなさはやっぱり何かあると思って気がついたのが、今年、ものすごくたくさんにことに驚き、感動し、たくさんのことを考えた、そのことをほとんどちゃんと残せていない、そういうことを書いていくためにこのブログ「スプリング」も作ったのに、とにかく書いてる暇がなかったこの一年。“そうだ、書いてないからだ”と思うにいたったわけです。
普段はいっこうに進まず、この暮れの忙しいときに「書いたわよ」と送ってこられる管理人さんにはほんとうに申しわけないと思いながらも、ここで最低限は書いておかなきゃ新年を迎えられないと思うので、書くことにしました。

3月のニューヨークのことの前に、ほんとうはどうしても書いておきたいことがありました。1月28日、新潟の山田小学校で6年生の生徒たちに音楽室でピアノを聴いてもらったときのこと。
今年3月で退職になる教師のTさんから、「最後にあの子達にピアノを聴かせに来てほしい」と言われたのはけっこう直前。「そんなことを頼んでよいものかどうか、すごく悩んでいた」とあとから聞かされる。「絶対にちゃんと聴くような子達ではないのでほんとうに申しわけない」とさかんにおっしゃって、私が張り切って色々プログラムを考えていると、「そんなにたくさんでなくていいんです。これで十分です。」ということで、「トルコ行進曲」「エリーゼのために」「かっこう」「月の光」「悲愴ソナタの第2楽章」そして「てィーちでィーる・じんじん」という、小品ばかりで演奏時間は正味20分ほど、お話とみんなで歌った「たび」を入れても約30分のコンサートとなった。
音楽室に入ってきた子どもたちは少し緊張していたのかもしれないけれど、私には最初、いわゆる「打てば響く」という感じではなく、期待もあるけどでもどう聴いたらいいんだかわかんないみたいな気持ちでいるように見えて、どちらかと言えば消極的な子達なのかなあと思っていた。養護学級からの子も一人、そして先生方。
Tさんは最初に私のことを簡単に紹介し、あとはすべてこちらに任せてくださった。これが私の好きなやり方だ。初対面だろうとなんだろうと、音楽の力がある。こちらは子どもたちが知らない曲であっても、親しみを持てるようなお話を(曲目解説とはまったく違う)入れながら、一つ一つの曲が今その場でどう生まれてくるかをしっかりつかんで演奏すればいい。
あの30分間、あの音楽室に流れていた時間をどう表現したらよいか、未だに分からない。
あの子どもたち、いや先生方も含め、あのときの表情をなんと言い表したらよいだろうか。音楽に出会っていると同時に、その音楽を感じ取っている自分自身に出会っている姿と私には感じられた。表面は極静かであったけれども、目と心が開いていっていた。

後日送っていただいた子どもたちの感想文の一部です。

ぼくはトルコ行進曲が好きだからきけてうれしかったです。
ほかのもひさびさにきけたのでよかったです。
てぃーちでぃーるにじんじんを組み合わせた歌がおもしろかったです。
悲愴第2楽章は夜の歌のようでした。
全部とてもいい歌でした。

泉さんへ とても楽しい音楽を聞かせていただき、どうもありがとうございました。 私が一番心に残った音楽は、「月の光」という曲です。

最初に聞いたときから本当に月の光を見ているみたいになりました。
ピアノを聞いていて、すごく心がうれしくなりました。
力強いところは強く、弱く表現したいところは弱く、ひいていて、すごいなぁと思いました。
これからもたくさんの人たちに音楽をきかせてください。

ぼくはクラシックはよくわからないけど きいていてとてもいいきもちになりました。

ぼくは、初めて生でプロのピアノを聞きました。最初はおもしろくないと思っていたけど志村さんのピアノを聞いて、こんなにのみこまれそうになるんだなあと思いました。 ピアノを聞いたり歌ったりするのは、あまり好きではないけど志村さんのを聞いて、ものすごく感動しました。 「かっこう」た「トルコ行進曲」などいろいろひいてくれたときに、映像が頭にうかんできました。
「トルコ行進曲」など計8曲をひいてくれて本当にありがとうございました。
これからもがんばって下さい。

志村泉さんのピアノの演奏を聞いて 私が志村さんの演奏をきいてみて1番、心に残った曲は、『ドビュッシー』の『月の光』です!  本当に月の光があたっていて、地球全体が美しく輝いているように感じました。

今日はすごくいい演奏でした。 モーツァルトのトルコ行進曲は、すごくいい曲でした。それに志村さんはすごかったです。ダカンのかっこうではすごくいい曲でした。それに志村さんはすごかったです。ベートーヴェンのエリーゼのために、悲愴第2楽章はすごくいい曲でした、それに志村さんはすごかったです。 志村さんはすごかったです。

モーツァルトのトルコ行進曲は聞いてて、こんな軍隊行進曲なんて本当にあったのかなという疑問ができました。 エリーゼのためにを聞いていて、音楽から悲しみがにじみ出てくるような気がしました。

1曲目のトルコ行進曲から、てぃーちでぃーる・じんじんまで、1つ1つの曲に、泉さんの気持ちがこめられていて、すっごく、かっこいいなぁ、と思いました。あと、かっこうでは、かっこうの鳴き声っぽい音も入ってて、だから、かっこうなのかと、なっとくする所もありました。べートーヴェンの曲は、2つとも、よく聞いたことのある曲で、でも、それを最後まで聞くのが初めてで、こんな曲なんだなぁ、と思いました。本当に、ピアノの音色といっしょに泉さんの気持ちも伝わってきて、スゴイなぁと思いました!!

ほとんどがしっている曲でした。 ベートーヴェン・エリーゼのためにのはく力がすごかったです。 ひさしぶりにきけたのでおもしろかったです。
悲愴第2楽章の曲は、なにかできいて、ずっと好きでした。
さいごのほうは歌がきこえてきたような気がしました。
ドビュッシー・月の光は、湖の水に月の光がうつってはんしゃして、やさしい暖かい月夜をそうぞうしました。
林光・てぃーちでぃーる・じんじんは、おきなわの数えかたでほたるをかぞえているようなかんじですかね~。さいごのほうは、もうわかんなくなりそうなかんじの音で、ほたるは、かぞえきれないほど、いるのかなと思いました。
ピアノやソロの曲は、私も好きなので、今日はとても楽しかったです。

1曲目の「トルコ行進曲」モーツァルトが作曲した曲は、私のピアノにはいっています。 前からこの曲が大好きでした。 プロの人がこんな近くでひいてくれるとおもいもしませんでした。すばらし音色で音のひびきが小さくなったり、大きくなったりして、こんな曲なんだなあと思いました。
他の曲も、その題名にあった曲ですごかったし、「てぃーちでぃーる・じんじん」という曲は、交ざり合った音色の曲ですばらしかったです。これからも、がんばってください。
ありがとうございました。

志村さんの曲ははげしかったりやさしかったりしてすごくよかったし1つ1つの音がとても大切にされていてすごく心に残りました。志村さんといっしょに歌う時ぜんぜんT先生とやり方がちがくてびっくりしました。びっくりすることがたくさんあってすごくいい時間がすごせました。
ありがとうございました。

ぼくは、7曲きいてとても迫力のある曲をきいてびっくりしました。きいたことのある曲できいたことのないとこもきけてとてもうれしかったです。とくにてぃーちでぃーる・じんじんの曲は後からわからない曲みたいな曲になってびっくりしました。きいたことのない曲はこんな曲なんだと思いました。とくにかっこうはピアノの音で鳥のなき声のまねをしたのがすごかったです。 いろんな曲をきかせてありがとうございました。

すごくきれいな音でびっくりしました。ピアノであんなに音がでるなんておどろきました。今度またききたいです。

私はピアノを聞いて、プロの人なんかは、簡単そうにひいているけど、実際に、苦労してここまでくることを考えるとすごいと思いました。 特に、トルコ行進曲を聞いていると、と中でものすごくテンポの速いところがあったりして、すごいと思いました。

すごく、上手で、えんそうを聞いている時、ねむくなってうとうとしてきて、とても気持ちよかったです。

志村さんのピアノがとってもうまかったです。みんながしずかになったので最後までちゃんと聞けました。楽しく聞けたのでよかったです。

志村泉さんのピアノの音色はとてもきれいで、時を忘れるほどでした。 モーツァルト作、「トルコ行進曲」は、行進曲にふさわしく、勇ましい曲で、ダカン作、「かっこう」は、かっこうの鳴き声がかわいくて、もうどれも素てきで、最高としか言えない程、すごくきれいな音色でした。

私は、志村さんのピアノの演奏を、聞いて、ひびきのいい演奏だと思いました。 私は、すごいなー。と思いながら聞いていました。 とても、いい演奏を聞いたなと思いました。

子どもたちの心の中を垣間見せてくれる感想文を読んで、深い世界を見つめているようなあのときの子どもたちの表情を思い出しました。
Tさんは「あの子達がこんな感想文を書くなんて信じられない」と驚き、感動していらしたけれど私は、あの子達を育てているTさん初め、先生方の普段のご苦労が、決して無駄にはなっていないのだと思いました。