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今年の初めだったと思いますが、甲府市のNさんから突然電話をいただきました。
「身延町の旧大須成小学校の物置から、根津ピアノと呼ばれる古いアップライトピアノが見つかったんです。それを修復して、今回その復元されたピアノでコンサートをしたいのですが、山梨ゆかりの志村さんにお願いできないかということになりまして。それで実際にそのピアノでコンサートが可能かどうか、一度身延町まで行ってピアノを見てほしいんです。」ということでした。
私は「ピアノを見せていただかなくても大丈夫です。やらせていただきます。」とお返事をしました。詳しいことはよく分からなかったけれど、何かそのお話からすごく温かいものを感じたし、そのアップライトピアノがたとえどうであろうと、コンサートそのものがとても意味のあるものになるという気がしました。
それに3月のカーネギーホールでのコンサートのために、超難曲の一柳作品に取り組む日々を送っていたそのときの私にとっては、6月に予定されるそのコンサートのことを考えるだけでも、何か緊張から解放されるような、ホッとできるありがたいもので、とても楽しみだぐらいに思っていました。
今になって振り返るとそれは、私にとってほんとうに大きな収穫のあるコンサートとなったのでした。