今月友人のヴァイオリニスト・島根恵さんの伴奏をさせていただいたCDが発売になりました。一昨年に続きこれが第2弾。今回も評判がよく、アマゾンでも売れ行き好調だそうです。
今回のメインはチャイコフスキーの「懐かしい土地の思い出」という渋い名曲で、これもなかなか良い作品なのですが、ヴァイオリンを習う子どもたちがまず触れる作品の良さを知ってもらうという意図から、たくさん小品が入っているのです。それがもうほんとうに楽しい。ボッケリーニの「メヌエット」、ドヴォジャークの「ユーモレスク」、ゴセックの「ガヴォット」、バッハの「ガヴォット」、バッハ/グノーの「アヴェ・マリア」、シューマンの「楽しき農夫」など誰でも知っている小品の中にまたもっと小さな「むすんでひらいて」「小ぎつね」「ちょうちょう」なども入っています。
ウェーバーのオペラ「魔弾の射手」から「狩人の合唱」も入っているのですが、これも鈴木メソードで初心者向けの教材になっているのだそうです。最初これを合わせたとき、私がいつも音楽教育の会の先生方が歌っていらっしゃるのを聴いているのとあまりにも違っていたので、ちょっと戸惑ってしまいました。やはりヴァイオリンを習い始めの子が弾けるように伴奏も簡単な分散和音で、私が知っている元気な「狩人の合唱」ではなかったのです。これだけは抵抗があって、私は伴奏を頼まれてお仕事をしている立場であるにもかかわらず、「こんな狩人じゃいやよ。もっと元気良くいきましょうよ。」などと言ってしまったのです。島根さんはオーケストラ版から譜面を作ってくださって、「私が思うような狩人」を入れることにしてくださったのです。でもこのCDの意図から言って鈴木メソード版も入れないわけにはいかず、結局2つの「狩人の合唱」が入ることになりました。
それはともかく、レコーディングがほんとうに楽しかった。特にバロック時代の小品はほんとうに生き生きと生命力に溢れ洒落ていて、まったくこびることなく聴く人を楽しませる。永遠のヒット曲だと思いました。
あの大思想家ジャン・ジャック・ルソーが作ったメロディーの「むすんでひらいて」。それこそドソミソドソミソと伴奏を弾いていても、「ああ、ピアノが弾けて幸せ」と心底思う私は、よほど音楽が好き、ピアノが好きという人種なのだと思います。
島根さんのヴァイオリンはやわらかく、そしてやはりまったくこびることなく他人(ひと)を楽しませる演奏です。是非お聴きください。
私に連絡の取れる方はご連絡くださればお送りします