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「テレジンのピアノの会」の報告会でもお話したのですが、10年前に約千人の方々の寄付によってお贈りしたあのピアノが、実は数年間、それはひどい状態になっていたのです。
2000年にお贈りして私がオープニング・コンサートをさせていただいた時は、“飛び切り上等のヤマハのC7”でした。美しい音色で、タッチも良い仕上がりでした。それが4年後の2004年、ちょうどウルマンやクラインなど、最後まで収容所の音楽活動を支えていた人たちが全員アウシュビッツに送られた10月16日の、その日からちょうど60年という記念のコンサートをさせていただくために行ったその時は、以前の音からは想像もできない割れ鐘のような音になり、音程もめちゃくちゃになっていたのです。